個人事業主から法人化(法人成り)の注意点

「売上が増えたから法人化」は危険?会社設立で後悔しないための3つの注意点

ITフリーランスの方々にとって「法人化(法人成り)」は、節税の大きなチャンスであると同時に、知識がないまま飛び込むと「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクも高い一大イベントです。

特にIT業界の方は利益率が高いため、法人化のメリットが出やすい反面、社会保険料の負担増や資金の自由度といったデメリットも強烈に効いてきます。

Webデザイナーやシステムエンジニア、ITコンサルタントなどの個人事業主は、事業が軌道に乗り、売上が1,000万円を超えてくると、必ずと言っていいほど耳にする言葉があります。

「そろそろ法人化した方が節税になるんじゃない?」

確かに、法人化(法人成り)には、経費の幅が広がったり、社会的信用が得られたりと多くのメリットがあります。しかし、ITフリーランスの方にとって、法人化は「魔法の杖」ではありません。

安易に会社を作ってしまい、「手元に残るお金が逆に減ってしまった…」「事務作業が面倒すぎて本業に集中できない」と後悔されるケースも少なくないのです。

今回は、ITフリーランスが法人化を検討する際に、絶対知っておくべき「3つの注意点(落とし穴)」を解説します。

注意点1:社会保険料の負担が「激増」する可能性がある

個人事業主のときは「国民健康保険」と「国民年金」でしたが、法人化すると「社会保険(健康保険+厚生年金)」への加入が義務となります。

ここで重要なのが、「会社負担分」と「個人負担分」を合わせて納める必要があるという点です。 ITフリーランスの方は仕入れや経費が少ないため、役員報酬(自分の給料)を高めに設定しがちです。しかし、役員報酬を高くすればするほど、社会保険料も跳ね上がります。

「税金(法人税など)は下がったけれど、社会保険料の支払いで結局キャッシュフローが悪化した」 これは、シミュレーション不足による典型的な失敗例です。

 

注意点2:会社のお金は「自分のお金」ではなくなる

個人事業主のときは、事業用の口座にあるお金を生活費に使っても、「事業主貸」として処理すれば問題ありませんでした。 しかし、法人になると「会社のお金」と「個人(社長)のお金」は完全に別人格として扱われます。

  • 役員報酬は期中で勝手に変更できない(原則、年に1回の決定のみ)
  • 会社のお金を個人的に使ったら、会社から社長への「貸付金」になる(銀行融資で不利になる原因や利息を徴収する必要がある)

「今月は入金が多かったから、ちょっと多めに引き出そう」といったどんぶり勘定は一切できなくなります。この窮屈さにストレスを感じるフリーランスの方は意外と多いのです。

 

注意点3:赤字でも税金がかかる&事務負担の増加

個人事業主なら赤字であれば所得税は0円ですが、法人の場合は赤字でも年間約7万円(法人住民税の均等割)の納税義務が発生します。

また、決算申告の難易度も格段に上がります。

  • 厳密な会計処理が必要
  • 社会保険の手続き
  • 登記変更のコスト

ご自身でfreeeやマネーフォワードを使って確定申告をこなしていたITリテラシーの高い方でも、法人の決算申告を独力で完遂するのは至難の業です。結果的に税理士への報酬コストが発生することも考慮する必要があります。

インボイス制度と「消費税免税」の兼ね合いにも注意!

以前は「法人化すれば2年間は消費税が免税になる」という大きなメリットがありました。 しかし、インボイス制度の開始により、このメリットの受け方も複雑になっています。

  • インボイス登録をして設立する場合、免税期間はどうなるのか?
  • 資本金を1,000万円未満にすれば本当に大丈夫か?
  • 特定期間の売上判定は?

これらを無視して設立すると、数百万円単位で損をする可能性があります。ネット上の古い記事を鵜呑みにせず、最新の税制に基づいた判断が必要です。

 

まとめ:「なんとなく」で法人化せず、まずはシミュレーションを!

少し厳しいことばかり書きましたが、もちろん条件さえ合えば、法人化は資産形成の強力な武器になります。

  • 所得税と法人税の税率差を利用して手残りを増やす
  • 「社宅」扱いで家賃を経費にする
  • 家族などに所得分散

大切なのは、「今の自分の売上と利益で、本当にメリットが出るのか?」を事前に数字でシミュレーションすることです。

一般的には、売上が1,000万円を超えたら、または、所得が800万円以上などが目安となりますが、個人の生活費がどれくらい必要か(持ち家か賃貸か)なども大切な判断材料となります。

最終的に法人の資産を個人に還流させる必要性があるのならば、個人事業はそのまま継続し、法人は資産形成、資産管理に利用するのもありかもしれません。

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