税務署から「お尋ね(文書)」が届いた場合の注意点

税務署からくるお尋ねとはどんなもの?

税務署から届く「お尋ね」は、法律に基づく強制力のある「税務調査※」とは異なり、あくまで納税者の自発的な協力を求める行政指導の一種です。とはいえ、無視すると本格的な税務調査に発展する可能性が高いため、事実上の「プレ税務調査」と捉えて丁寧に対応するのが賢明です。

※税務調査には、通常の任意調査には直接の強制力はなく、裁判所令状に基づく「強制調査(査察)」のみが臨検・捜索・差押え等の実力行使を伴う強い強制力を持ちます。もっとも任意調査にも受忍義務があり、正当な理由なく拒否すると推計課税や処分の不利益につながる可能性があります。

具体的にどのようなケースで届くのか、主なパターンを以下に解説します。

不動産を購入・売却したとき(大きな資金が動いた時)

最もポピュラーなケースです。登記情報から不動産の動きを把握した税務署が、「そのお金、どこから出しましたか?」と確認してきます。

チェックポイントは

・購入資金の調達方法(預貯金、ローン、親からの贈与など)

・贈与税の申告漏れがないか(特に親からの資金援助など)

・売却した場合、譲渡所得の申告が必要かどうか

例えば、賃貸用不動産を5,000万円で購入して、その何年後かに購入金額と同じ5,000万円で売却したとしても、建物は減価するため譲渡所得が出て確定申告の必要があることもあります。

取引先からの「支払調書」とのズレ(ITフリーランス等に頻発)

システム開発やWebデザインなどの報酬は、発注元の企業が「誰にいくら支払ったか」を税務署に報告しています(支払調書)。

複数の取引先がある場合でも、売上の内訳明細を確認すれば少額であっても漏らすことなく確認することができます。

なお、青色申告の個人事業主は、発生主義で報酬(売上)を計上しますが、支払調書の作成側は、源泉徴収がされている場合など現金主義で作成されていることもあるため、ズレが生じることも実務上あります。したがって、すぐに税務調査に移行するとは限りません。

事業所得や法人の申告内容に疑問があるとき

提出した確定申告書や決算書の内容が、同業他社や過去のデータと比べて「不自然」な場合に送られてきます。

例えば、

特定の勘定科目が突出して大きい場合や売上高に対して外注費や接待交際費が異常に多い場合など。

なお、税務署は「内偵」で把握している情報(取引先への反面調査など)や 資料せん などと実際の申告額にズレがある場合にも送ってきます。

相続が発生したときなど

人が亡くなってから半年〜1年後くらいに届くことが多く、亡くなったひとの過去の所得税の確定申告書のデータや資産状況からみて、相続税がかかりそうな遺族に送られてきます。

必ずしも確定申告の必要があるわけではありませんが、特例を適用する場合などは確定申告の必要があるため注意が必要です。

その他、海外送金などがあった場合など。

「お尋ね」への対応のポイント                                       

放置は厳禁

「お尋ね」自体に罰則はありませんが、無視を続けると「この納税者は非協力的だ」「何か隠しているに違いない」と判断され、「実地調査(税務調査)」のターゲットに格上げされるリスクがあります。回答のコツは、通帳や領収書などのエビデンスを確認した上で回答します。もし回答を準備する過程で「あ、申告漏れがあった」と気づいた場合は、お尋ねの回答と同時に修正申告を行うことで、無用なトラブル(重加算税など)を回避できるケースが多いです。

税務調査に発展したら手遅れ?

税務署からの「お尋ね」が届いた後、放置していると、ある日突然、税務署から「〇月〇日税務調査に伺います。」という連絡がきます。そうなるとペナルティ(加算税など)にも変化が出ます。

税率が跳ね上がる「無申告加算税」

確定申告をしていないことに対する罰金が「無申告加算税」です。これが、税務署の対応フェーズによって以下のように劇的に変わります。

  • 「お尋ね」が来て、自分で急いで申告した場合

税務署から税務調査の連絡が来る前に、自主的に期限後申告を行えば、ペナルティは本来の税額の5%で済みます。

  • 「税務調査に入ります」と連絡が来た後に申告した場合

調査の連絡を受けた後慌てて申告すると、ペナルティは10%〜15%に跳ね上がります。

  • 税務調査で指摘されてから申告(または決定)された場合

調査官に指摘を受けた後に申告すると、ペナルティは15%〜20%(※さらに高額な税額部分は30%になるケースも)という非常に重い負担になります。

つまり、「お尋ね」が届いている今の段階なら、まだ「自主的な申告(5%)」として扱ってもらえるラストチャンスなのです。

日割りで増え続ける利息「延滞税」

本来の納付期限(原則3月15日)から、実際に税金を納めた日までの期間に応じて発生する利息が「延滞税」です。税務調査になれば、過去数年分(最大5年〜7年分)の申告漏れを一気に指摘されます。何年も前の税金を今から払うとなれば、その数年分の利息がドカンと上乗せされます。放置期間が長ければ長いほど、延滞税だけで数十万円という金額に膨れ上がることも珍しくありません。

一発レッドカードの「重加算税」

これが最も恐ろしいペナルティです。税務調査の結果、「売上をわざと隠していた」「架空の経費を計上していた」など、事実を「仮装・隠ぺい」していたと判断された場合、無申告加算税の代わりに40%という極めて重い「重加算税」が科せられます。

罰金を最小限にするには「調査の連絡が来る前」に動くこと!

結論として、ペナルティを最小限に抑える方法はたった一つです。 「税務署から『税務調査に入ります』という電話が鳴る前に、1日でも早くプロに依頼して正しい申告書を提出すること」です。

お尋ねの封筒が届いている時点では、まだ税務署は「あなたからの自主的な返答と申告」を待ってくれています。このギリギリのタイミングで税理士が介入し、スピーディに過去の申告を完了させれば、最悪の事態(高額なペナルティや重加算税)を回避できる可能性が極めて高くなります。

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