税務調査について②
前回に引き続き税務調査について、
税務調査(実地調査)の日程は、2日間くらいで行われます。午前10時から始まり、お昼休憩を入れて午後5時までが一般的かと思います。納税者にとっては、ほぼ2日間拘束されるだけでもかなりのロスです。そして、帳簿書類等の資料の準備など、税務調査の前後でかなりの時間を要します。したがって、お互い税務調査が滞りなく、速やかに行われるように協力することも大切です。
税務調査では、帳簿書類等の提示・提出を求められますが、正当な理由がなくこれを拒んだりした場合は、どうなるのでしょうか?
国税庁のHPにおいて、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがありますが、税務当局としては、罰則があることをもって強権的に権利を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税者の方の理解と協力の下、その承諾を得て行うこととしています。と記載されております。
ここでいう正当な理由とは、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難な場合などが該当するものと考えられます。
また、提示・提出を求められる帳簿書類等が、法人税の調査において、会社の代表者名義の個人預金の通帳などであった場合はどうでしょうか?
これは、法人税の調査であっても、事業関連性が疑われる場合には、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えれることから決して違法な調査ではありません。
税務調査において、帳簿書類等の提示・提出を拒否することはあまりないと思いますが、実地の税務調査が終了しても、帳簿書類等を税務署へ持ち帰り【留置き(預かり)】、さらに税務署内で調査を継続することがあります。
ではこれを拒否した場合はどうなるのでしょうか?
国税庁のHPでは、税務調査において、
例えば、納税者の方の事務所等に十分なスペースがない場合や検査の必要がある帳簿書類等が多量のため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税務署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や納税者の方の負担軽減の観点から望ましいと考えられる場合には、帳簿書類等の留置き(預かり)をお願いすることがあります。帳簿書類等の留置き(預かり)は、帳簿書類等を留め置く必要性を説明した上、留め置く必要性がなくなるまでの間、帳簿書類等を預かることについて納税者の方の理解と協力の下、その承諾を得て行うものですから、承諾なく強制的に留め置くことはありません。
ということで、強制ではありません。もちろん税務調査についてはお互いに協力して早く終了したいところですが、上記のような特段の理由がない限りは、2日間も税務調査が行われる場合は、その日程の中でしっかり調査してもらい、留置き(預かり)は遠慮して頂きたいと私は思います。
そして、調査対象となる納税者が、医師や弁護士のように職業上の守秘義務がある個人情報などについて、調査で提示・提出が求めれることがありますが、これを拒むことはできるのでしょうか?
調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、納税者の協力の下、その承諾を得て、提示・提出をいただく場合があります。これは法令上認めれた質問検査等の範囲に含まれ、調査担当者には調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されていますので、調査へのご協力をお願いします。とのことですので、若干抵抗はあるかもしれませんが、提示・提出に協力しても問題ないようです。
上述の質問検査等(質問検査権)について、前回の「調査」の意義等と同じく、質問検査等の記載があります。
そのなかで、質問検査等の相手方となる者の範囲ということで、簡単にいうと、誰が質問検査される対象となるかですが、代理人、代表者はもちろん、従業員も含まれます。よく調査担当者が従業員のパソコンのメールを確認させてくださいなどと言って、パソコンを調べようとすることがあります。(調査担当者が直接操作することはないと思います)その際に、従業員が「私的なものがあるので見せられない」などと拒否しようとすることがありますが、これはダメです。会社のものを私的に使用していることになってしまいます。
最後に、税務調査の開始の際は、必ず調査担当者の身分証明書及び質問検査章を提示してもらいましょう。これも国税通則法に携帯することが決められています。きちんと丁寧に確認して税務調査に臨みましょう。