個人事業者のインボイス登録に伴う消費税の確定申告について
個人事業者のインボイス登録に伴う消費税の確定申告
目次
システムエンジニアや一人親方、ホステスなどの個人事業者は、インボイス制度の始まりと同時にインボイス登録(適格請求書発行事業者)をした人も多いかと思います。
令和5年分の消費税の確定申告は、制度開始の令和5年10月1日から令和5年12月31日までの3か月間が対象となり、おそらくほとんどの人が2割特例を適用して消費税の確定申告をしたのではないでしょうか。
確定申告書の作成も国税庁のホームページからなら2割特例の場合は、売上等の入力だけで比較的簡単に作成することができます。
ネットニュースでは申告はしても納税はしていないケースが散見されるとありましたが、当然、所得税同様に消費税の納税が必要です。
納税方法については金融機関の窓口にて納付書で納付する場合のほか、振替納税やインターネットバンク等から選択が可能です。
消費税の経理方法
消費税には、税込経理方式と税抜経理方式があり、どちらの経理方式によっても最終的に損益は変わりません。
税込経理方式
消費税等(消費税及び地方消費税。以下同じ)の額と、その消費税等に係る取引の対価の額とを、区分しないで経理する方式で、課税売上、課税仕入れ等に係る消費税等の額をその売上金額、仕入金額に含めて処理する方法をいいます。
仕訳にすると下記のようになります。
売掛金 1,100,000円 / 売上 1,100,000円(課税売上)
仕入 550,000円(課税仕入) / 買掛金 550,000円
売上 1,100,000円 | |
仕入 550,000円 | |
売上総利益 550,000円 |
税抜経理方式
消費税等の額と、その消費税等に係る取引の対価の額とを、区分して経理する方式で、課税売上げ、課税仕入れ等に係る消費税等の額を仮受消費税等、仮払消費税等として科目を設け、その売上金額、仕入金額に含めないで処理する方法をいいます。
仕訳にすると下記のようになります。
売掛金 1,100,000円 / 売上 1,000,000円(課税売上)
ーーーーーーーーーー/ 仮受消費税等 100,000円
仕入 500,000円(課税仕入)/ 買掛金 550,000円
仮払消費税等 50,000円 /ーーーーーーーーーー
売上 1,000,000円 | |
仕入 500,000円 | |
売上総利益 500,000円 |
所得税の決算額調整
消費税等の納付税額又は還付税額を算定した後の所得税の決算額の調整方法は、経理方式により異なります。
税込経理方式による経理処理の場合
消費税等の納付税額又は還付税額は、原則として、消費税等の申告書を提出した日の属する年の事業所得、不動産所得などの所得(以下「事業所得等」といいます。)の金額の計算上、必要経費又は総収入金額に算入します。
なお、消費税等の納付税額又は還付税額を未払金又は未収入金に計上した場合には、その未払金又は未収入金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、必要経費又は総収入金額に算入することとしてもよいことになっています。
つまり、税込経理方式による場合は、原則と例外があり、例えば令和5年分の確定申告の場合は、
・原則は消費税の申告書を提出した年分の必要経費又は総収入金額に算入 → 令和6年分の所得税で調整
・例外として、所得税の決算で計上した場合はその年分の必要経費又は総収入金額に算入 → 令和5年分の所得税で調整
仕訳は同じですが、必要経費算入時が違います。(2割特例適用※)
・租税公課 20,000円 / 現金 20,000円 消費税納税(令和6年3月消費税の確定申告書提出時)
又は
・租税公課 20,000円 / 未払金 20,000円 未払消費税計上(令和5年分所得税の必要経費計上時)
売上総利益 550,000円 | |
租税公課 20,000円 | |
最終利益 530,000円 |
税抜経理方式による経理処理の場合
税抜経理方式によっている場合は、消費税等の納付税額と、課税期間の終了時における仮受消費税等から仮払消費税等を差し引いた金額との差額は、その課税期間を含む年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額又は必要経費に算入します。
税抜経理処理によっている場合は、令和5年分の確定申告の場合は、令和5年分の所得税で調整
仮受消費税等 100,000円 / 仮払消費税等 50,000円
ーーーーーーーーーーー/ 未払金 20,000円
ーーーーーーーーーーー/ 雑収入 30,000円
売上総利益 500,000円 | |
雑収入 30,000円 | |
最終利益 530,000 |
消費税額の計算
※ 消費税の計算は、消費税と地方消費税に分けて計算します。