上場株式等の配当に係る所得税と個人住民税について異なる課税方式を選択する場合
確定申告の時期となりましたが、株式投資などをしている場合、譲渡損益や配当などについて、損益通算や申告不要制度などの様々な選択をする場面があるかと思います。一度、選択すると、あとで間違いが見つかった場合などでも修正(更正の請求など)ができない場合があります。個人事業主などの場合は、国民健康保険料に影響があるかないかなどを、きちんと制度を理解して選択する必要があります。
上場株式等の配当については、所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択できることが明確化されました。今までも、所得税と個人住民税について異なる課税方式を選択することは可能でしたが、平成29年度税制改正により明確化され、おそらく手続きもスムースに進むのではないでしょうか。
上場株式等の配当に係る課税方式は、
①総合課税 ②申告分離課税 ③申告不要制度
があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
①の総合課税を選択すると、
所得税は、すべての所得と合算されて税額が計算されるため、税率が約5%~45%となります。
個人住民税については10%となります。
②③の申告分離課税・申告不要制度を選択すると
所得税は、15.315%となります。
個人住民税は 5%となります。
簡単ではありますが、税率だけを単純に比較すると所得税について、配当控除や損益通算を考慮して総合課税を選択した場合でも、個人住民税については申告不要制度を選択できると少しでも節税になるのではないでしょうか。
もちろん、ケースバイケースなので個人住民税によって影響を受けるものなど詳細に検討する必要があります。