買った年に一括で経費(損金)で落とせるのか?
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(令和8年4月1日以降の取得について)
個人事業主や中小事業者の皆様にとって、機材購入などの経費に関するルール変更は節税に直結する重要なトピックです。
事業を効率化するために、新しいパソコンや専用ソフト、またはカメラなどの機材を新調したいとお考えではありませんか?
機材を買うときに気になるのが、「買った年に一括で経費(損金)で落とせるのか?」 というポイントです。
実は、税制の変更により、一定の条件を満たす個人事業主や中小企業を対象とした「少額減価償却資産の特例」の基準額が、従来の30万円未満から「40万円未満」へと引き上げられました。

ハイスペックPCも全額経費に?少額減価償却資産の特例が「40万円未満」に拡大!
これまでと何が変わったの?
原則として、10万円以上のパソコンや機材を購入した場合、買ったその年に全額を経費にすることはできず、「減価償却」といって数年に分けて少しずつ経費にしていかなければなりません。
しかし、青色申告をしている個人事業主や中小企業であれば、「特例」として一定額未満のものは一括でその年の経費にして良いというルールがあります。
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【これまで】 取得価額が30万円未満のものまで一括経費OK
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【これから】 取得価額が40万円未満のものまで一括経費OK!
「あと少しで30万円を超えてしまうから…」と、本当に欲しいスペックの機材を諦めていた方には、まさに朗報です。
40万円未満になると、こんなメリットが!
上限が40万円未満に拡大したことで、以下のような高額なツールも、その年の利益から一括で差し引く(節税する)ことができるようになります。
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クリエイター向けハイスペックPC(MacBook Proなどの上位モデル)
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動画編集や設計用の高性能な専用ソフトウェア
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プロ仕様の一眼レフカメラや撮影機材
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高機能なオフィスチェアや昇降式デスクなどの労働環境セット
たとえば、今年度の利益が予想より多く出そうな場合、年末に38万円の高性能パソコンを購入すれば、その全額を今年の経費として計上でき、翌年の税金を大きく抑えつつ、業務の効率化を図ることができます。

制度を利用するための3つの注意点
とてもお得な制度ですが、活用するためにはいくつか注意点があります。
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青色申告をしていること
この特例を利用できるのは、青色申告を行っている個人事業主や中小企業(青色申告法人)に限られます。白色申告の場合は適用されません。
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年間合計の上限額がある
「40万円未満なら何個でも無限に経費にできる」わけではありません。1年間でこの特例を使って一括経費にできる合計額には上限(※)が設けられています。
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「取得価額」の考え方に注意
送料やセットアップ費用などが含まれる場合、それらを含めた合計金額が「40万円未満」である必要があります。また、消費税の経理方式(税込経理か税抜経理か)によっても判定基準が変わります。
(※)年間「合計300万円まで」という上限があります。1個あたりは40万円未満でも、年間の合計額が300万円に達するまでしかこの特例は使えません。例えば、39万円のパソコンを8台買った場合、合計312万円となり300万円の枠を超えてしまうため、全額を特例で処理することはできなくなります。計画的な購入をおすすめします。
【見落としがち】「税込」か「税抜」かで大違い!40万円未満の判定ライン
40万円未満の機材が一括で経費にできるという大変便利な特例ですが、ここで多くの方がつまずく罠があります。それが「消費税をどっちの計算方法で処理しているか」という点です。
お店で見る値札には「税抜価格」と「税込価格」が並んでいますが、この特例の「40万円未満かどうかの判定」は、ご自身の事業の消費税の経理方式によってボーダーラインがガラリと変わります。
あなたの事業はどっち?判定基準のちがい
結論から言うと、処理の仕方は以下の2パターンに分かれます。
| 経理方式 | 40万円の判定基準 |
| 税抜経理 をしている | 税抜(本体)価格 が40万円未満ならOK! |
| 税込経理 をしている / 免税事業者である | 税込(支払総額)価格 が40万円未満でなければNG! |
💡ポイント 免税事業者(消費税の納付義務がない方)の場合
会計ソフトの設定にかかわらず、自動的に「税込経理」の扱いになります。そのため、判定はすべて税込価格で行う必要があります。
全額経費にするのが正解とは限らない?「一括償却資産」との賢い使い分け
令和8年4月1日以降に取得した少額減価償却資産の特例について、さらに節税となる可能性があります。
少額減価償却資産は、40万円未満のものは全部その年の経費にすることができますが、購入した金額が「10万円以上〜20万円未満」の場合は、もう一つの選択肢である「一括償却資産」の制度を選んだ方が、結果的にトータルの税金が安くなるケースがあるのです。
「一括償却資産」とは?
パソコンや応接セットなど、10万円以上〜20万円未満で購入した資産を、通常の耐用年数(パソコンなら4年など)に関係なく、一律「3年間」で均等に経費にしていく制度です。
たとえば、15万円のパソコンを買った場合、毎年5万円ずつ、3年間にわたって経費として計上します。(なお、その事業年度が12か月であれば月割り計算は行いません。)
なぜ「今年の全額経費(特例)」ではなく「3年分割」を選ぶの?
「その年に全額経費で落とせる特例があるのに、わざわざ3年に分ける意味があるの?」と疑問に思いますよね。あえて「一括償却資産(3年分割)」を選ぶのには、次のような強力なメリットがあるからです。
メリット1:償却資産税(固定資産税)がかからない!
これが最大のメリットです。事業用の機材や備品には、合計額が一定以上になると市区町村から「償却資産税」という税金がかけられます。「40万円未満の特例」を使って全額経費にした資産は、この税金の計算対象に入ってしまいます。しかし、「一括償却資産(3年分割)」を選んだ資産は、この償却資産税の対象から完全に外れるという特別なルールがあります。市町村に払う税金を抑えたい場合は、こちらを選ぶのが賢い選択です。
メリット2:利益が少ない年の「経費のムダ撃ち」を防ぐ
起業したばかりの年や、今年はあまり利益が出ていない(あるいは赤字の)年に、無理に全額を経費で落としても節税効果は薄くなります。それよりも「3年分割」を選んで、利益がしっかり出そうな来年・再来年に経費を温存しておく方が、将来の税金を効果的に減らすことができます。
メリット3:白色申告の方でも使える
「40万円未満の全額経費の特例」は青色申告の方限定のルールですが、こちらの「一括償却資産(3年分割)」は、白色申告の方でも利用可能です。

